Home > 同窓会活動情報 > その他 > 令和7年度菊朋会「教育講演会」

令和7年度菊朋会「教育講演会」

#その他 ・2025/12/12公開 ・2025/12/13更新

コロナで中断していた菊朋会教育講演会が5年ぶりに行われました。今回は昨今の世界情勢と在校生に夢と希望を感じてもらえるように、アフリカのスーダンとザンビアで医療支援活動を続けている認定NPO法人「ロシナンテス」代表の医師川原尚行先生から「究極の医療は戦争をしないこと、させないこと」~スーダン内戦を経験して~ と題して75分の講演をしていただきました。   

会場には全校生徒と教職員、保護者団体の育友会の他菊朋会と関係者約400名が集まりました。講演に先立ち菊朋会の池田会長からは「生徒の皆さんはその目を大きく広げ、世界的視野、地球規模で自分を活かす道を考えてください。また、保護者の皆様も子供さん方とこれらを考えるきっかけにして下さい」との主催者挨拶がありました。

その後、中尾副会長からユーモア溢れる講師紹介があり、講演はプロジェクターで映像と写真を交え生徒と同じ目線で行われました。講演では外務省の医務官として訪れた現地で医者として何も出来ないもどかしさから外務省を辞して医療支援活動を行った経緯と外務省という肩書が外れたときの世間の冷たさを痛感したとのことでした。

また、活動の原点は故郷の北九州で「人のためになれ」との両親の教えで、特に、「ラガーマンとして活躍した高校時代(小倉高校)の仲間の協力が大きかった。」と話されていたことが印象的でラグビーに底知れぬ魅力を感じました。そして、途上国での医療は総合的な取り組みが重要であり、病院や診療所の建設は勿論ですが、生活基盤である水道や道路、教育基盤の学校、そして、産業の振興などを進めるとともに、日本の企業や自治体から中古の救急車を導入しているとの事でした。

内戦が続いているスーダンは外務省から危険地域であるとのことで渡航自粛を要請されているが「日本人として又、医師として医療や生活基盤整備の支援が必要である現地をほっとく訳にはいかないことから自己責任で行くことにしている。」との言葉に並々ならぬ使命感を感じました。

前日の歓迎会で奥様から現地の素材やデザイン、色彩を使ったネクタイや名刺入れなどの小物を作成することで、雇用や産業創出による所得を増やす活動には共感を覚えました。また、熊本大学とはアフリカの薬草を使った新薬開発のプロジェクトを進めており、ウインウインの関係で相互発展への取り組みも素晴らしいものでした。

更に、川原先生は我々が普段何気なく見過ごしている校訓の「汗と夢」のすばらしさが強調され、自分が知ってる限りこのような教訓を謳っている学校は無いとし、母校への誇りと愛情を持つことの素晴らしさが強調されました。最後に例えその行為が効果が薄くどんなに小さなことであっても「自分に出来ることをただひたすらに実行する」ことを説いた「ハチドリのひとしずく」で締めくくられました。

質疑応答では「スーダンでのモチベーションは?」の質問に「日本人としてなんとかしたい一心であり、日本にしかできないことをやる」との答えには感動を覚えました。また、「今までの中での財産は何か」の質問に「色々な人と知り合えたこと」をあげ、人とのつながりの重要性を力説されました。そして、お金は無いとの事で笑いを誘いました。

その後、生徒会を代表しお礼の言葉と花束の贈呈で教育講演会は終了し、明日の愛知県での講演と本日2回目の講演のために福岡に向かわれました。講演を生徒たちの後ろで見ていると話しが進むうちに生徒たちの背中がシャキッと伸び、目を輝かせて聞き入ってる姿に川原先生の話がみんなの心に響いたことを感じ、主催者として大変うれしくなりました。

文責:事務局M

 

HOME